発達障害の中には、感覚過敏や感覚鈍麻といった特性を持っている人がいます。
どちらも日常生活で不便なことがあります。
今回は感覚鈍麻にフォーカスしてご紹介します。
感覚鈍麻とは
感覚鈍麻とは、人間が外部から受ける刺激である五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・臭覚)の感覚が感じにくくなる特性のことです。
発達障害者に見られる特性で、一つの感覚だけに見られる場合もあれば複数の感覚にわたる場合もあります。
発達障害でない人でも心身の疾患やストレスによっても発現する場合もあります。
感覚鈍麻の原因
感覚鈍麻・感覚過敏になる原因は完全に解明されていませんが、以下のような原因があるとされています。
脳や神経機能の不全によるもの
感覚鈍麻・感覚過敏の原因として考えられている中で最も有力な原因が、脳や神経機能の不全です。
通常は音や光などの外部からの刺激を受けると、脳によって刺激を調整してくれます。
しかし感覚鈍麻の場合は脳が刺激を調整し過ぎて刺激を感じなくさせます。
(感覚過敏の場合は逆に刺激を調整する機能がうまく働かず、刺激を感じやすくなります。)
発達障害も脳や神経機能の不全からくるものなので、「発達障害だから感覚鈍麻・感覚過敏になる」ではなく「脳機能が不全なため発達障害、感覚鈍麻・感覚過敏になる」という方が正しいかもしれません。
感覚器官の不全によるもの
感覚を感じる器官である目や鼻、耳などに原因がある場合もあります。
器官の働きが十分でないため感覚鈍麻の特性があらわれます。
突発性難聴により音をうまく感じ取れないなどがあります。
ストレスやうつなどの精神的によるもの
緊張やストレス、うつ病の時などに感覚が通常の状態で無くなる場合もあります。
もともと感覚鈍麻・感覚過敏を持っていた人が精神的に不安定になってことにより悪化するケースもあります。
感覚鈍麻の危険性
感覚鈍麻は通常感じるはずの刺激を感じることが出来なかったり、刺激が少なくなります。
しかし刺激を感じないだけで体はダメージを受けているため注意しないと危険な場合があります。
気温の変化が分かりにくい
感覚鈍麻の中には気温の変化が分かりにくい人がいます。
簡単に言うと夏でも暑くて感じなかったり、冬でも寒く感じません。
気温の影響を受けにくいと言えばメリットのように感じますが、温度の変化を感じないことで以下のような問題が発生します。
- 現在の気温に適した格好がわからない
- 知らないうちに体に熱が溜まったり体温が下がってしまう
気温の変化が分かりにくいことによってその時の気温に適した格好や対応が出来ないため、いつの間にか体調を崩してしまいます。
痛みが分かりにくい
触覚が鈍いと外部からの刺激を受けても痛いと感じにくいです。
人は打撲や骨折などをすると「痛い」と感じます。
そうすることで外傷を受けた箇所を動かさないようにし、これ以上悪化させないようにさせます。
“痛い”と感じることは自身を守るために必要なことです。
しかし「痛み」が分かりにくくなってしまうと外傷を受けてもそこまで気にせずに動き続けてしまいます。
たとえ痛みが無くても動かし続けることでさらに悪化させてしまいます。
疲れが分かりにくい
どれだけ動いても疲れない人がいます。
本当に体力が多い人かもしれませんが、疲れが分かりにくくなっているだけかもしれません。
疲れが分かりにくいことで誰よりも勉強や仕事を続けることが出来ますが、いつの間にか体力の限界がきているかもしれません。
事前にわかれば良いのですが気づいた時には倒れているなんてこともあります。
ADHDの「過集中」と言う特性がありますが、これも一種の感覚鈍麻で集中し過ぎて疲れに対する感覚を受け取りにくくなっているのかもしれませんね。
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